少女が瞼を開けると、そこは見知らぬ平原だった。
 とにもかくにも美しい〈夜明けの平原〉アウロラは、初めてその地に降り立った彼女にとって気が遠くなるほど果てしない世界だった。

 名前のない子どもの第一歩は、あまりにも心細いものだった。
 しかし、救いの手は差し伸べられる。
 その手は人の手よりかなり細く、黒い毛で覆われてはいたが、右も左も分からない少女にとっては生まれて初めて触れたほど、心強い猫の手であった。

 神秘の世界アルカナ。少女の冒険は始まった。

 1.知らない世界
 2.親切な黒猫
 3.簡潔な呼び名
 4.アルカナを歩む者
 5.すべての者が至る場所

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